不器用なLOVER
切な気な吐息を吐いた後に、

「…時間ないから日焼け止めだけ塗り直そ」

両手で押さえてた腕を外し脇腹を抱え向き合うように抱き直されて両足でロックされた。

「朋弥があんな風に荒れたのは、僕のせいなのかもしれない…」

取り出したそれを塗り始める。

「晶には前に話したけど…、
僕は中等部時に壁を作ったんだ。誰も信じられず頑なに…」

私に触れる優しい手と対称的に、暗く低く語る。

「朋弥にさえ閉ざし拒絶してた。高等部に上がる前に持ち上がった婚約話…」

「婚約話って?…透弥さん婚約者が居るの?」

透弥さんの両腕を掴んで見上げる

「その婚約者っていうか彼女が、朋弥を僕と間違えて近付いたから朋弥が怒ったんだ…」

透弥さんの目が揺れ、
睫毛で影を落とす。

「見合い断るように父に交渉して僕にも説得してきたんだけど…」

そのまま肩に顔を埋める。

「その頃の僕は疑心暗鬼になって取り合おうともしなかった」

深い溜め息の後に、

「朋弥は彼女と…不貞を働いて、彼女の方から婚約破棄を取り付けようとしたんだ」

言葉を濁したけどつまり…、
朋弥さんは透弥さんのために彼女を抱いたっていうこと?

「その話が父に伝わり、
朋弥は側近役を降ろされた…。
宮原一族から縁切りされたということなんだ」

< 178 / 315 >

この作品をシェア

pagetop