不器用なLOVER
「生徒会長ね」
「生徒会長だ」
「生徒会長か」

衣里、真姫、登喜子が口を揃えて呟き
道を空けた。

「えっ生徒会長って?…

驚いてあげた声が、
脇を颯爽と抜けていく存在によって
…消えていく。

あっ、
今こっち見たかも
微かな期待は…、
ただの勘違いなのかな?

その背中が見えなくなるまで、
ただ見つめていた。

「今のが生徒会長だよ。
…この学校の全女子の憧れ、なんだよ」

真姫のその言葉には、
棘がみえる。

「へえ〜…全女子のね?」

思わず小声になってしまう。

「かっこいいし、
毎回全国模試ではベスト10位内だし、
スポーツ万能だし」

再び衣里が隣に並ぶ。

「でもって、常に冷静で落ち着いてて…、
取り乱すどころか顔色一つ変えない」

登喜子が一歩後ろに付いた。
なんだろ少し…、

「真姫ちゃんも登喜子ちゃんも…、
生徒会長のことあんまり良く思ってない?」

気になったことを思いきって聞いてみた。

「……」

二人は無言でそれを肯定した。

ヤバかったかな…。

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