不器用なLOVER
紅白両応援団長の清涼な指揮の元白熱した応援合戦を期に場内は更に盛り上げを見せる。

「3年の男女混リレーの選手確認誰か行って」

実行委員の一人が声を荒げた。

先程まで体育祭指示監を務めてた透弥さんの姿は見当たらない。

「あっ…私行きます。
入場門でいいんですよね?」

丁度前演目の後片付けを終えて、走り出しながら聞く。

「おっ悪い。向こうに会長居ると思うから指示仰いで…」

背中で聞きながら振り返らずに、手を挙げて答えた。

入場門前で次の演技者が整列して出番を控える。

その後の学年別組対抗リレーは、各クラス男女3人ずつからなる、混合リレーの3年生でその代表選手の確認のために周りを見渡す。

早めに集まりバトンの練習をしてる組もあったけど、

その中には透弥さんも朋弥さんも居なかった。

「あれ?1、2…」

練習に参加してない組は2組で、透弥さんと朋弥さんの組だと思われ。

透弥さんとっくに来てると思ったのにな?

日陰に入り談笑中の輪の中で朋弥さんを発見する。

残すは…。
透弥さんの組だ。

目に入る範囲には見当たらない。

「どこ行っちゃったんだろう?」

思わず漏れたそれに、

「透弥ならさっき女の子と二人で抜けてったよ?」

何時の間に背後に立っていたのか朋弥さんが答える。

「どういう意味ですか?」

< 183 / 315 >

この作品をシェア

pagetop