不器用なLOVER
振り返くと白いﾊﾁﾏｷを首に掛け、両手を頭の後ろで組んで見下ろす朋弥さんが居た。

「どういうって…憶測っちゅうか…ありゃ告られてんじゃね?」

目線を外すように空を仰いで、

「まぁ…透弥は晶ちゃんオンリーだから心配ないっしょ?」

一笑して私を見た。

「オンリーなんかじゃないです」

口を吐いた言葉に目を丸くして、

「何?浮気でもされた…って、
んな訳ねぇよな?」

軽く聞き流し茶化す。

「浮気じゃないけど…。透弥さんには他に大切な人が居るから」

朋弥さんを上目使いに見上げて、

「その人が大切で、代わりなんて居なくて、その人じゃなきゃダメなんだって…」

真っ直ぐ見つめると、

「なっ…二股ってこと?」

唖然として瞬きを繰り返す。

「二股って訳じゃないけど…。
ﾊﾟｰﾄﾅｰだから時には私よりも優先される人かな?」

それを受け堪えきれずに失笑し、

「有り得ねぇよ晶ちゃん。
晶ちゃんも知ってる通りアイツは不器用なヤツだからさ大事な女を二人なんて作れねぇから」

頭に軽く手を触れ撫でられる。

「晶ちゃんの深読みし過ぎ」

女の子なんて言ってないのに。

やっぱりこんなんじゃ伝わらないよね…。

「でも…朋弥さんが気付いてないだけかも?」

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