不器用なLOVER
ホントはこんな遠回しじゃなくてはっきり伝えたいんだけど…。

「有り得ねぇな。透弥の優先順位第1は何を於いても晶ちゃんだ」

一蹴されてしまった。

「まぁ…宮原としてはんな訳には行かねぇんだけどな」

朋弥さんの自嘲気味な笑いに。

「透弥さんは宮原グループのことをちゃんと考えて優先順位を決めてるから私よりも大切な人が居るんですよ」

思わず声を荒げる。

「ん〜でもな…晶ちゃんと会ってからの透弥はやっぱ変わったよ」

その場に膝を曲げて屈み込み、

「少し前の透弥なら自分の気持ち押し殺して既に人生投げ捨てたけど…」

下を向いたまま続け、

「何があったか知らねぇけどさ…勝手に悟ったみてぇな面して何もかも諦めちまってた」

両手で頭を抱え込む。

「宮原グループの後継者として育てられてきたから仕方ねぇのかもしんねぇけど…その前までともやっぱ違ってたからさ」

大きく溜め息を吐き、

「ガキだったってのもあるけど、人間味もあって高ぇ壁を張り巡らせてもなかったしな…」

至らなかった自身と当時を重ね、

「よじ登ってでもぶっ壊しちまえりゃ良かったんだろうけど…」

行動にも移せずに外野に徹し、

「下手すりゃ透弥そのもんを壊し兼ねねぇから外を固めることしか出来なかった。
結局何も役に立てなかったけど」

見守っているだけだったことを、後悔してるのだろうか?

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