不器用なLOVER
飼い犬って…。

「それを透弥さんが聞いたら…。悲しむと思うけど」

透弥さんは朋弥さんのことそんな風に思ってないのに。

「だから甘ぇんだよアイツは…。非情になりきれねぇで自分の負担を増やしちまうんだよな」

口では文句を吐きながらも、

「俺のこともパートナーだとか吐かしやがって。その癖全部一人で抱え込んじまう」

言い方にもトゲはなくて…、

「人のことばっかなんだアイツは何時だって自分のことを後回しにし過ぎなんだよな。
無頓着ってか結局俺が見てねぇとダメなんだよ」

寧ろ嬉しそうに話してる。

私からしてみれば朋弥さんも充分そうだと思うけど。

似た者同士だよ。

「そんなこと言って朋弥さんは、透弥さんの名前で遊びまくって、迷惑掛けてるじゃない」

二人の間柄に嫉妬してのちょっとした嫌味のつもりだったのに。

「嗚呼…、あれはさ透弥の縁談を外角から破談にさせてやったの」

朋弥さんの意外な台詞に固まる。

「唯関係作ってるわけじゃなくて情報操作してんだよ。
まぁ…実際女の子大好きだし、
お預け食らったままってか蚊帳の外感だし面白くねぇからさ…。
多少、透弥を困らせてやりてぇってのも本音」

悪戯っぽく鼻の頭を指で触れた。

< 188 / 315 >

この作品をシェア

pagetop