不器用なLOVER
後ろから近付いて来てたことに、気付いてたかの様な余裕を見せ。

「透弥…告られお疲れ様」

不敵に笑った。

「新しく親衛隊のリーダーになったって態々挨拶に来ただけだよ」

溜め息混じりの答え。

「そういや前の隊長さんは取巻きと一緒に辞めたんだったよな」

朋弥さんがしたり顔で続ける。

「公にはなってねぇ様だけど…、ある企業に彼女等の父親の会社が吸収合併されたんだってな?」

透弥さんはそれには答えず、
朋弥さんを直視したまま。

「透弥が取締役になってる会社も最近似たようなどっかの企業吸収したんじゃなかったか?」

透弥さんが取締役って
会社の重役ってこと?
まだ高校生なのに?

じゃあ透弥さんはこの学園では、
生徒会長で、
理事長代理で、

宮原グループの中の会社では、
重役まで熟してるってこと?

感心してる場面じゃなかった。

透弥さんが会社を乗っ取ったって疑われてる方が重大だよ。

私が口を開くよりも前に、

「僕も知ってることがあるよ」

透弥さんが切り出す。

「何だよ認めんの?
言い訳でもしようってのか?」

朋弥さんに説明するつもりなら、私が話すよりずっと分かりやすいはずだから此処は見守る方が賢明だと思い、出掛けた言葉を飲み込んだのに…。

透弥さんは二人の意に反して、
話し出した。

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