不器用なLOVER
「その企業買収の件で本当は1番動いてくれたのが朋弥だってね」

だってその頃の朋弥さんは停学中だったはずだけど?
私の疑問を察知した訳でもないのだろうけど。

「何で俺が?んなことするはずがねぇだろ?」

朋弥さんが嘲笑う。

「僕が知るべき情報を逸速く調べ上げて、指示を待つこともなく、やりたいことを読み確実に動け、期待以上の成果をもたらす人材は他には居ないよ」

凄い褒め言葉を掛けられてる、
朋弥さんもやっぱり凄い人なんだって改めて感心してしまった。

「言い訳するのかと思えば共犯説でっち上げかよ…」

片手で頭の後ろを掻きまくり、

「俺は透弥が考える程優秀な人間じゃねぇんだよ悪いけど」

否定してしまった。

嘘だ。
さっきの朋弥さんの話を考えてもやっぱり透弥さんが考えてる通りなんだと思う。

「朋弥がそう言うのなら構わないけど」

あっさりと受け入れてしまった。

それ以上透弥さんは何も言わず、朋弥さんも聞かなかった。

何で?

一人納得も行かず有耶無耶にされ二人の顔を交互に見比べる。

けど…、
何も言える訳もなく。

透弥さんの体操着の裾を掴む。

頭に軽く乗せられた手で優しく、なだめられた。

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