不器用なLOVER
一つ競技が終わり、
前の競技者が入場門をくぐる。

「3年のリレーメンバーは集合して走順に整列」

本来私がやるべきことを透弥さんが指示しそれを横で見てた。

「女子はトラックを半周で男子は1周だから1、3順の女子は右側残りは左側」

透弥さんの指示に各々並び変え、

「分かってると思うけどアンカーは、1周半だから」

朋弥さんはクラスの一番後ろに座ってることからアンカーということになる。

透弥さんも今は私の隣で進行中の演技を見てるけど、

「透弥さんもアンカーなの?」

疑いもなく尋ねる。

「さっき晶から御守り貰ったからまた1番にゴールしなきゃね」

目尻を下げて見つめられて、
自分からしたキスを思い出し顔を熱らす。

「顔、赤くなってる」

透弥さんの指先が頬に触れて、

「だ…ダメ」

慌ててその手を掴み離す。

周りを見渡し誰にも見られてなかったことを確認して息を吐いた。

「此処でキスしたりするつもりはなかったんだけど、晶がしたいのなら僕は良いよ?」

透弥さんが嬌笑した。

その色っぽさからか、
台詞からなのか、
身体中が熱を帯る。

「色白な分赤みが目立つね?」

私を引き寄せ顔を胸に埋めさせ、

「その顔を他の男に見せたくないって言ってるのに…」

透弥さんが呟いた。

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