不器用なLOVER
この二人はやっぱり深いところで繋がってる。

長い年月が為せる事なのか、
互いの信頼関係の証明なのか。

羨ましくて妬けてくる。

「だけど…今回の事で朋弥には、確実に知られてしまったからね?僕にとっての晶の存在の意味」

その言葉の意味を図りかねて、
瞬きを繰り返す。

黙って見つめ合ったけど、答えの導き出せない私を

透弥さんが含み笑う。

「分からないの?なら…感じて」

耳元に唇を寄せ、

「朋弥が晶にこだわる訳を…」

思えば、初対面で既に朋弥さんは私を知ってた。
透弥さんの惚れた女だって。

大歓声は私達の至近距離を保つのに巧く利用出来た。

「透弥さんは朋弥さんのことを、分かってたのにあんな態度とってたの?」

それと同時に思い出してしまった冷たい態様。

目を見開き、片眉を上げ

「朋弥との関係は今始まったことじゃないでしょ?
抑、朋弥の停学理由は僕の名前で白泉女子の女性とラブホテルを出た処をうちの生活指導に取り押さえられたんだから、流石に言い逃れもカバーも出来ず…」

一旦言葉を区切り、

「まぁ…今度だけはするつもりもなかったんだけどね。
大体がラブホテルなんて使う事自体が間違ってるんだよ。
レフュージを使う方が賢明でしょ?」

レフュージとは、宮原グループの中では珍しく一般向けのシティホテルのこと。

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