不器用なLOVER
溢れ出した涙を透弥さんの指先が掬う。

「彼女とも破談になったけど…」

透弥さんを涙を溜めた瞳で

「どうして?」

見つめる。

「さぁ、僕が下手だったとでも…朋弥に言ったんじゃない?
朋弥の逆鱗に触れて立ち直れないぐらいに墜とされてたから」

相変わらず他人事みたいに淡々と話す。

「そう…なの?」

口角を上げ、

「下手かどうかは、晶が直接確認しなよ」

体の熱が再上昇して顔が熱い。

「その時は宮原のホテルは使わないけどね?」

再び胸に抱き寄せられる。

「考えてもみてよレセプションで、
見知った人達の中でするんだから晶の想像してると思っただけで、腹が立つ」

腹が立つという割りには感情が、表に出てない。
そう考えるとあの時の透弥さんの態様はやっぱり不自然だ。

「透弥さんは朋弥さんのことを、迷惑だと思ってたの?」

短い溜め息が聞こえ。

「朋弥を迷惑だと思うのは晶との時間を邪魔された時ぐらいだよ。自分でも情無い程理性を見失って取り乱す」

そっか…。
透弥さんが機嫌の悪くなるときはいつも私が絡んでるってことだ。

「さっき怒ってたのは?」

体を離し顔を覗き込む。

一瞬眉を動かし、
額を重ね合わせる。

「以心伝心には程遠い…少しは、感じなよ」

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