不器用なLOVER
「晶ちゃん」

手を振りながらこちらに近付くおじさんを見て、
安堵の笑みがこぼれた。

「辰おじさん」

「中々来ないから、迎えに来ちゃったよ」

「…ごめんなさい。あまりにも衝撃的で、
立ち入る勇気が中々でなくて…」

並んで校舎に向かって歩くように促される。

「?…衝撃的?…立ち入る勇気?」

顔に理解不能を浮かべつつも、

「まあ、普通の学校とは少し違うかも知れないけど、そんなに気構えずに」

「…うん。そうだ、辰おじさん、父がお世話になってます。これからは娘共々よろしくお願いします」

今更だけど深々とお辞儀をする。

深井辰太郎(シンタロウ)
漢字の辰を取って(タツ)おじさんは、この学校の理事長さんです。

「晶ちゃんもすっかり大人になって…。しかし、祐次もこんな時に仕事入れなくてもなあ…」
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