不器用なLOVER
二走順目にバトンが渡る際に、
バトンの受渡しで多少の差が出たもののまだレースに大きな展開は見られない。

「平気で人前でイチャ付く方が、悪ぃんじゃねぇの?」

朋弥さんが頭の後ろで手を組む。

「気になるなら見なければいいんじゃない?」

透弥さんが腕組みをした。

「大体お前はどんだけ目立つ存在なのか自分で気付いてねぇのが、質が悪ぃんだよ…」

朋弥さんの溜め息に、
納得して小さく頷いてしまう。

「それぐらい分かってるよ…。
宮原って家系で生徒会長で首席で運動神経も人よりは良い分妬みを買いやすいってことでしょ?」

自分で言えば嫌味になるであろう単語のオンパレードなのに、これでも謙遜なんだから…。

「やっぱ分かってねぇじゃん…。お前はその並外れた容貌に秀でた才能を持ち合わせてんだよ」

並外れた容貌って確にそうなんだけどそれは透弥さんだけじゃなく朋弥さんにも当てはまることだ。

「それは自賛し過ぎじゃない?」

透弥さんが眉を潜めたのを見て。

「し過ぎじゃねぇよ」

私が小さく横に頭を振るのと、
同時に朋弥さんが言った。

頭越しに会話をする二人には多分私が見えていない。

「見た目と行動だけのことなら、それは朋弥にも相当するってことだよね?」

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