不器用なLOVER
私をその胸に引き寄せる。

「もしこうして晶に触れる場所を考えさせるのなら、晶を傷付けるようなことを朋弥はしないから」

女子から男子に走順が変わった。

私の腰に両腕を回したままで、

「何時でも何処でも…僕が自由に振る舞って良いってことを遠回しに伝えてるんだよ」

髪にキスを落とす。

「勝手なこと言ってんじゃねぇよ…何で俺が面倒臭ぇバカップルの為に身を挺しなきゃなんねぇの?」

ブツブツと文句を言ってる口調や声は朋弥さんの意思を表してた。

透弥さんの含み笑いも聞こえる。

そういえば朋弥さんが意地悪な事を言う時には大抵透弥さんが傍に居て必ず慰めてくれていた。

分かり辛い朋弥さんの意思表示を透弥さんは理解してたんだ。

「朋弥に甘える事にして僕等は、此れ迄通り自由にさせてもらう。けどそれで朋弥が晶をからかって良い理由にはならないから」

何もかも見通されてたことが悔しかったのか朋弥さんが口を開く。

「ってか透弥さ…さっき晶ちゃんには手出しさせねぇって言ったの俺が晶ちゃん不安にさせたから?晶ちゃんが変に考え込まねぇようにだろ?」

朋弥さんに透弥さんが頷いたのが分かった。

「やっぱな…お前にしては変だと思ったんだよな」

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