不器用なLOVER
どうせ私はちびだし巨乳じゃない況してやモデル体型だなんて口が裂けても言えないけど…。

「朋弥のタイプは聞いてないよ」

透弥さんが溜め息を吐くと。

「でも身長差は案外重要だぞ…。variationが限られちまうしな」

大真面目に朋弥さんが透弥さんに説き明かす。

片眉を上げ朋弥さんを見据え、

「何の話してるの?」

冷淡に一言する。

「…話戻すか晶ちゃん」

透弥さんの視線から逃れるように向かい合って。

「つまりあれだ…頭首はさ目先の利益しか見ねぇで、相手を決めちまうんだよな」

本題を定めたかの様に話し出す。

「良家のお嬢ってのは拘束されて退屈なんだか、裏で何やってんのかを確認しろっての…」

朋弥さんの嘆きに、
透弥さんが意を唱える。

「仕方ないよ…親の敷いたレールを進み、何れは親の決めた相手と連れ添うだけの生涯なら…」

透弥さんの言葉が頭の中を支配し切なくて苦しい。

「でも僕は知ってしまったから。何を犠牲にしても構わない程に、誰かを愛しいと思う気持ちを」

熱を帯た視線と絡み合う。

「だから今は朋弥に感謝してる。何度も僕の自由を死守してくれたことに」

見つめ合ったまま目を細めた。

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