不器用なLOVER
眼鏡をクイッと押し上げ、
私を見た。

「……勉強教えて欲しいわけじゃないなら、何が知りたいの?」

「何で私を実行委員にしたの?」

そんなこと聞いてどうするのよ

「前に此処で頼んでおいたと思ったけど?」

はっ
そういえば、頼むって言われた。
この事だったのか。

「他に無いなら、僕からもいい?」

視線を外すこと無く私を見つめ続けている。

黙って首を縦に振る。

「此処に来なかったのは、
勉強したくなかったから?
それとも、避けられてた」

何ですと
首を横にブンブン振る。
その慌てようがおかしかったのか
目尻を下げて、

「…笑った」

しまった声に出ちゃった。

透弥さんは、
真っ赤になった顔に腕を押し付け
視線を外してしまう。

「照れてる。かわいい」

「うるさい」

耳まで赤くする透弥さんが近く感じる。

顔を向けずに呟く、

「…勉強したくないなら、本でも読めばいい。
好きなことしてもいい…」

それって、
思い上がりなのかな?
でも…
本当なら…

「私に…会いたいってこと?」

無言だけど、
首の後ろまで赤く染めるのを見て
私も顔が熱かった。

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