不器用なLOVER
つまりこう言う事だ。

透弥さんは、
朋弥さんを自慢だった側近役に、戻すために…

朋弥さんは、
透弥さんを活気の溢れた自我に、目覚めさせるために…

二人が揃って…
私を利用してたってこと。

「まぁ…お前の事だから、
全部お見通しで様子見てんだとは思ってたけど…」

朋弥さんの呟きに、
透弥さんが目を細める。

「そっちこそ、僕が簡単に朋弥の挑発に乗ったのが、実力試しって気付いてたんじゃない?」

不敵に笑い返した。

二人のやり取りに

尚且許せないのは、
それを知った上で態と乗った振りをしてたってことだと気付く。

何も知らず、
気付かずに、
私一人、手の平で踊らされてた。

「晶ちゃんのことはもう俺の手に負えない気がすんだけど…」

朋弥さんが弱音をぶつける。

「何よ勝手に巻き込んで散々人を利用しといて…説明も無しに放り投げるなんて信じられない」

怒り任せに叫んでた。

悔し涙なのか溢れ落ちる粒を、
両手の甲で力任せに拭き取る。

「あっ…否、えっと…悪かった」

朋弥さんが軽く頭を下げる。

「許さないんだから…」

私は涙声で返した。

「晶…」

当惑した透弥さんの手が頭に触れ

「ゴメン…晶に甘え過ぎたね」

その胸に引き込まれる。

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