不器用なLOVER
まだ裸のままの胸が直接肌に触れ透弥さんの鼓動が直に響く。

「でも、朋弥が本当に晶に好意を持って接してたのは事実なんだ」

その胸でまだ落ち着かない気持ちを抱えて泣きじゃくる私の髪を撫でながら、

「その証拠に、朋弥と近付くのを僕は本気で嫌がってたでしょ?
本来の目的遂行の為には二人には近付いてもらう方が好都合にも…関わらずね」

透弥さんが静かに続ける。

「二人の良い部分をよく知ってる僕だからこそ…、
不安を隠し切れなかった」

自嘲気味に笑った。

「最初に朋弥が晶に近付いたのは確認の為だったはず何だよね…。僕が唯一身近に置くことを許す、晶という人物の…」

髪を撫でる指を絡ませる。

「晶より僕の方が慕うのを見て、戸惑ったと思う。
晶を遠ざけるのは簡単だったはずなのにそうしなかったのは…」

次の言葉を躊躇う透弥さんを、
見上げる。

「…朋弥も晶のことを受け入れたってことだから」

「わっ…かんっ…ない」

泣き過ぎでしゃくり上げてて巧く話すことが出来なかった。

「晶に勉強為せる様に仕向けたり僕との絆を深める橋渡しをしたり…かと思えば今度は、貞操意識を植え付けさせようと試みて…」

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