不器用なLOVER
そんな朋弥さんの苦渋の表情も、透弥さんからは分からないはず…

なのに、
見上げた透弥さんは理想通りの、展開なのかしたり顔を一瞬覗かせ…続ける。

「元々僕が朋弥の信頼を裏切り、相談もしないで自己満足の為に…行動を起こしたのが始まりだから…今更パートナーに戻って欲しい何て調子が良過ぎだったんだよ…」

反省の色さえ滲ませて…。

「僕には朋弥以外は考えられないから…どんな汚い手を使おうとも戻って欲しかったんだよ」

心を強く揺さぶらせる。

聞く人誰もの心を掴む演説だとは思う。

私だって聞いてるだけなら…。

でも…、
やっぱり目が笑ってて。

前の無表情の仮面をしたままなら気付かなかったよね?

オンオフを切り替える透弥さんは…完全にオフ状態なんだ。

声や話し方だけじゃなくて、
これが透弥さんの本心なんだから伝わってくるんだけど。

それを知らなかったら…、
朋弥さんに同情してしまったかもしれない。

「でも、もう…。ゴメン…朋弥…諦めるから、だけどこれが僕の…本音だから、僕のパートナーに代わりなんて居ないから…」

駄目押しの言葉だった…。

「待てよ…」

朋弥さんがゆっくり静かに口を、開ける。

朋弥さんを振り返る透弥さんは、既にオンに切り替えていた。

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