不器用なLOVER
バタバタと何人かの靴音が響き、

「残念…時間だ」

透弥さんが離れる。

「会長〜」
「何処ですか?」

大声が呼ぶ声が徐徐に近付き。

「おいこっち」
「居た」
「見付けた〜」

その姿を認め歩を急かした。

「同時に消えたと思えば…」
「二人で何やってたんすか?」
「会長の指示を待ってますよ?」
「副会長が速やかに戻る様にと」
「忙しいんですから…」
「こんな人気の無いとこで…」
「早く進行して下さい」
「何かトラブってるみたいです」

各々が自由に殆んど同時に次々と話し出して…。

透弥さんが居なくてパニくってることだけが辛うじて分かるぐらい

皆の慌て振りから私まで落ち着かなくなってきた。

「大井君…二人で外れることは、前以て伝えて有ったはずだ」

冷静に、

「香川君…僕の戻るまでの指示は早田君に出しておいた」

表情一つ変えず、

「笹原君…トラブルの原因も調べずに報告に来た処で対処の仕様が無いと思わなかったの?」

一人一人に向かい、

「忙しいのなら…用も無く寺田は僕達を探す必然が有ったのか?」

的確に応えて、

「とにかく、戻ろう」

私の手を握り、
足早にグランドへと向かった。

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