不器用なLOVER
冷然な態度を崩さず一同を見渡し

「さて、君達がどう収拾を付けるつもりなのか拝見為せて貰うよ。勿論、責任を取って速やかに対処してくれるんだよね?」

パイプ椅子に足を組んで座った。

示し合わせた様に顔を青くして、互いに見合わせたまま動き出せず立ち尽す。

「時間は無いんだから…。
早く行動に移しなよ。
僕の最後の体育祭を潰すことが、何を意味するかぐらい分かってるでしょ?」

益々萎縮する彼等を、
更に厳然と正視した。

彼等のうちの一人が一転したのを合図に先を争う様にその場を後にした。

「副会長さんまで…」

透弥さんの手で引き寄せられ、
足の間に座らされる。

「今日は此れで終わるかもね?」

透弥さんを振り返ると、
長い睫毛で陰を作る。

「…体育祭続けられないの?」

透弥さんの痛言を受けた彼等は、思い思いに行動している。

ある者は、
散らかったごみを拾い歩き。

ある者は、
倒れた入退場門を起こし。

ある者は、
散らばった生徒達を呼び戻す。

その様子を冷徹に分析する。

「彼等では無理だろうね…。
一度離れた人はそう簡単には戻ることは無いんだ。
彼等は自分達の愚劣な行為を多いに反省するべきなんだよ」

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