不器用なLOVER
ブルジョアジーにはブルジョアジーなりの気苦労があるということだから…

「僕等は産まれ時からレールが、敷かれてる…。
その上を漠然と歩いてる訳には、いかないんだ。
知識や教養なら何処でも手に入るけど…この学園でしか学ぶことが出来ない相応の器の磨き方や目の養い方など…。
大切なのは内面の養成の方だ…」

ゆっくり丁寧に説明する透弥さんだけど、それは自分自信にも言い聞かせる様にも見えた。

「そうだな…後は体裁の整え方?理事長代理には無理なんだろ?」

朋弥さんの声に振り返ると、
呆れた顔で頭に手を置き、

「誰も居ねぇからって…、
堂々とイチャ付くんじゃねぇよ。どっから見られてるか分かんねぇんだぞ?」

真後ろに立った。

「僕は見られても構わないよ」

透弥さんは振り返りもせず、
片眉を上げて、

「それより理事長代理って…、
どういうこと?」

質問で返す。

それよりか…。
そうだよね…私のことよりも、
朋弥さんにバレてる方がよっぽど大問題だよ…。

それでも、
朋弥さんの苦言も気になって、
離れる為に立ち上がりたかった…私の動きは完全に腰に回された、その両腕によって封じられてる。

「と…」
「だからお前は俺を見くびり過ぎだって言ってんだよ」

私の呼び掛けは、
朋弥さんのそれによって完全に、かき消された。

「知らねぇとでも思ってんのか?進学早々に理事長に掛け合って、大事な三年間棒に振りやがって」

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