不器用なLOVER
透弥さんが離れるのを見計らい、壇上の朋弥さんがマイクを…
オンにした。

「はい、注目
俺等の演目がまだ残ってんだよ。高等部最後の体育祭だってのに、勝手にぶっ潰してんじゃねぇよ。お前等俺の勇姿が見てぇだろ?」

朋弥さんの演説に、
透弥さんは腕を組み眉を寄せて…溜め息を吐く。

「俺だってこの後の1年女子の、綱引き楽しみにしてんだっての」

次第に周囲がざわめき出し、
朋弥さんの元へ集まり出した。

「大体…
今夜の後夜祭は楽しみてぇだろ?こんな後味悪ぃ終り方しておいて本当に楽しめんの?」

少しずつまとまり出してきたけど…今一つ決め手には足りない様で

「ってかさ…抑、後夜祭ってのは体育祭がメインのあくまでお疲れ会じゃねぇの?
メインが上手く終われねぇのに、後夜祭なんて開かれる訳なくねぇって考えらんねぇかな?」

周りに集まって話を静かに聞く、生徒達の顔を見渡し…

「ってことでさ…我が学園の誇る聡明にして宮原グループ総領の…、全生徒からの羨望を一心に背負う宮原透弥の話を心して聞く様に」

朋弥さんが振り返り、
ほくそ笑む。

「さぁ…透弥…。
お膳立てはしてやったぜ?
後はお前の采配次第だな?」

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