不器用なLOVER
目の前に立ちマイクを突き付け、

「頼むぜ?宮原透弥…」

一笑する。

「嗚呼…助かったよ。
お陰で生徒会長という立場でも、理事長代理という立場でも無く、一人の生徒として話が出来る」

受け取ったマイクを手に、
颯爽と壇上へと向かう背中を、
見つめた。

「ったく人使いの荒いヤツだぜ。何処まで読んでやがったんだ?
未だに深いヤツなんだよな…」

朋弥さんのボヤく声を耳にする。

「アイツはさ…多分全部お見通しってやつでさ…いつも透弥の鼻を明かしてやろうと仕掛けんだけどそれを余裕で受け止めやがんだ。俺の考えなんて端から読んでてよ…ってかそう動かされるのかもな…結局今回もそうなんだよな…。俺がマイク向けても涼感漂わせる顔でお礼まで言いやがってよ…」

一人愚痴を吐き続ける朋弥さんに掛ける言葉を探すけど…。

「晶ちゃんも気を付けねぇと、
透弥に良い様に扱われちまうぜ?本人に気付かせねぇ様に巧く操るヤツだけどな…。
気付いた時には躍らされた後で」

止まる様子も、
口を挟む隙もなかった。

「アイツはマジで気障なヤツでさ…演出しちまいやがんだよな…。唯の駒に過ぎねぇってのにさ…。自分を良く見せりゃ良いのによ」

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