不器用なLOVER
最後に…って
そう呟く朋弥さんの顔はきっと、誰の目にも寂しそうに映ってた。

そして…、
それらを肯定する様に、
透弥さんが口を開く。

「今更君達に体育祭を成功させるだけの器量があるとは思ってない…が僕には体育祭を無事に終えるという責務が残されてるんだ。
来賓並びに教員には僕の方から、話を付けお帰り頂くことにする。寄って君達に残された道は形式上全競技を終わらせるだけだ…。
後は…後夜祭にもつれこもうと、僕の関与するところでは無い。
どう運営していくのか楽しみに、してるよ…宮原透弥としてね」

声音もトーンも変えることなく、その姿勢を貫き壇上を下りる。

「後は頼んでいいよね?」

朋弥さんを目だけで見ると、
そう言い残しグランドを離れた。

私は追い掛けたかったけど…。

「駄目だ…今行けば透弥の意図が全て水に流れる」

朋弥さんにがっちり肩を掴まれ、動きを封じられていた。

「安心しろよ…。
んな人望のねぇヤツに見えっか?確に透弥は無愛想で不器用なヤツだけどアイツを知ってる奴等ならちゃんと理解してるよ。
見てみろよ」

朋弥さんが指差すグランドでは、生徒会員に実行委員がところ狭しと動き出してた。

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