不器用なLOVER
先に発言してた通りに、
生徒等は皆彼等に協力的で…。

各持ち場へと素早く移動した。

事態を引き起こした棒倒し後から再開となりその競技の演技者等がグランドに残って準備を手伝う。

「最も透弥は…誰からどう思われようとお構い無しなんだよな。
唯一人晶ちゃんさん見失わないでいてくれさえすりゃな?」

朋弥さんが肩から外した手で、

「間違いなく談話室で御来賓方のお相手をしてるぜ?
行ってこいよ」

背中を押す。

「…それから、あの賭けはお前の不戦勝だって伝えてくれよ。
この騒ぎを収めたのは紛れもなく透弥だからな。
望み通り…戻ってやる」

速やかに競技に移ったのを見届け朋弥さんが極まり悪そうに言う。

「ありがとう朋弥さん」

力強く頷く私に、

「…例え、あん時のアイツが俺を突き放した理由を話さなくてもな俺はアイツを信頼してるしな…」

ブツブツと口籠る朋弥さんは、
明らかに不服そうで…。
それが可愛いかったので。

「透弥さんが前に言ってたよ?
疑心暗鬼になって誰も信用出来ず朋弥さんにさえ壁を作ってたって朋弥さんの厚意を無にしたって。後悔してるの」

朋弥さんは鼻の頭を指先で撫で

「復帰後初仕事はこの体育祭だ。その後は晶ちゃん覚悟しとけよ」

親指を上に突き立てた。

< 248 / 315 >

この作品をシェア

pagetop