不器用なLOVER
「晶?何か気に触ることした?」

ブンブンと頭を横に振る。

「一人で帰すのは心配だね。
晶は隙が有りすぎるから」

言い返そうと見上げると、

「そんなこと無いって、
言いたそうだね?でも…」

透弥さんの顔が近付く。

えっ
まさか…kiss
更に近付く顔…
反射的に目を閉じる。

…んっ
いつまでも降ってこない唇に
ゆっくり目を開ける。

透弥さんは既に数歩先にいた。

「何してるの?置いてくよ?」

勘違いした自分にムカついた。

隣に追い付くと、
ブスッとしたまま聞く。

「今まで名前呼んだことないのに
どうして皆が居る前で呼び捨てにしたんですか?」

少し考えるポーズをとって、

「どうしてだと思う?
ただ、晶が他の男に見られてると思ったら堪らなかった」

真っ直ぐ私を見つめる。

鼓動が速くなって、呼吸が上手く出来なくなる。

「それって…私の事が好き?」

自分で言った言葉に驚いて、
顔が熱くなる。

「何それ?自惚れてる」

透弥さんの返事に、
胸がズキンって痛くなった。

から笑いして、

「そうだよね。透弥さんモテるし彼女居ますよね」

自分で言って更に目頭が熱くなる。


< 25 / 315 >

この作品をシェア

pagetop