不器用なLOVER
29th plan
元々教育委員会はこの私立学園に対する如何なる権限も持たず、
独立組織なので孤立している。
形式上来賓扱いをしてはいるが、互いに干渉し合わないのが暗黙のルールとなっている。

「とは言え報告することは充分に考えられるでしょ。
それは逆に文部科学省に手を回し完全に白紙にする最大のチャンスでもあったんだ」

全てを終え並んで歩く廊下で、
透弥さんが教えてくれた。

「…結局、透弥さんには怖いものなんてないんだよね…」

全校生徒からも慕われてるし、
理事長だって全幅の信頼を寄せて味方するんだもん。

何だかんだ言っても一人で何でも出来て私なんて必要ないんだ。

黙ったまま突き出した唇だけが、自己主張する。

透弥さんも気付いているのに何も言わなかった。

渡り廊下に差し掛かろうとした時

「透弥君」

呼び止められ振り返れば、

「ん?晶ちゃんも一緒だったのか?でも何故かな?」

私の存在に首を捻る辰おじさんに

「彼女も実行委員の一人ですからそれより理事長今回は本当に申し訳ありませんでした。
理事長にも御迷惑をお掛けした上人力を尽くして頂き有難うございました」

「いやいや私は何もしてないさ。透弥君の説明が的確に的を得てたということだよ。
然し、透弥君も被害を受けることになったんではないのかな?」

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