不器用なLOVER
「そういや今更隠れてする必要もねぇから言っとくわ…。
今度の見合い相手40歳の女だろ?どっかの大臣の愛人らしいじゃん…小学生のガキまでいるって?」

おもむろに話す内容に透弥さんが鼻で笑った。

「あれ?
朋弥でもそこまでしか情報持ってないんだね?
流石に厳重管理されてたんだ…。表向きはね…本当は…隠し子の方なんだよ」

「って小学生かよ?」

朋弥さんの鋭い突っ込みに片眉を吊り上げた。

「いくら何でも犯罪でしょ?
それにその子は隠してないしね。僕が言ったのは隠し子の方だよ。表向きは住込の家政婦ってことになっている20歳の女性…年上ってことに変わりはないけど」

朋弥さんの顔色が鋭く変わった。

「ちょっと待てよ…。
話聞いた時は頭首も焼きが回ったのかって心配しちまったが成る程そいつは政界に太いパイプ繋げるこれ以上ねぇチャンスじゃねぇか」

直ぐに視線を移しバツが悪そうに頭を掻いた。

「あっ…いや…やっぱさ晶ちゃんには悪ぃけど…」

「朋弥!」

透弥さんが遮りそれ以上は言わせなかった。

けど…
私には朋弥さんが言いたかったことが分かる。
私もそう思ったから。

「誰が何を言おうと僕には晶しか居ないんだ。
晶を悲しませる様なことは僕が…赦さない」

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