不器用なLOVER
会長室の扉をノックする音に、
無意識に視線を動かす。
「嗚呼、丁度良かった…」
透弥さんが呟いて立ち上がる。
「晶、時間だよ」
目尻を下げて優しい微笑みを残し扉に向かった。
透弥さんが招き入れると、
「お久し振りです透弥様。
今日はご指名を頂きまして私共、大変恐縮致しております」
「僕の方こそお忙しい貴殿方を、お呼び立てして申し訳なく思ってますよ…
「とんでもありません!
透弥様にご指名頂けるなんて、
メーキャップアーティスト冥利に尽きます!仕事よりも透弥様が最優先です」
透弥さんの返しに割り込み鼻息も荒く顔を近付けた彼は掌まで強く握り締めている。
溜め息混じりに、
「だから嫌だったんだ鉄ちゃんを連れていくのは…」
室内に足を踏入れた中性的な色気を持つ人は先に突入し透弥さんを熱い視線で見つ続ける鉄ちゃんの襟元を掴み力任せに引き離す。
「お久し振りです透弥さん…。
お元気そうで良かった…」
先の二人とは明らかに違う態度でそのまま挨拶を交わした。
「ありがとう…志穂さんの方も…相変わらずで…」
「相変わらず男みたいでしょ?」
鉄ちゃんが掴まれて詰まったままの首元に手を差し入れてもがきながら続ける。
「本当に馬鹿力で私よりちっこいのに引き摺るなんて信じられない…これも私がか弱い女だからよ」
無意識に視線を動かす。
「嗚呼、丁度良かった…」
透弥さんが呟いて立ち上がる。
「晶、時間だよ」
目尻を下げて優しい微笑みを残し扉に向かった。
透弥さんが招き入れると、
「お久し振りです透弥様。
今日はご指名を頂きまして私共、大変恐縮致しております」
「僕の方こそお忙しい貴殿方を、お呼び立てして申し訳なく思ってますよ…
「とんでもありません!
透弥様にご指名頂けるなんて、
メーキャップアーティスト冥利に尽きます!仕事よりも透弥様が最優先です」
透弥さんの返しに割り込み鼻息も荒く顔を近付けた彼は掌まで強く握り締めている。
溜め息混じりに、
「だから嫌だったんだ鉄ちゃんを連れていくのは…」
室内に足を踏入れた中性的な色気を持つ人は先に突入し透弥さんを熱い視線で見つ続ける鉄ちゃんの襟元を掴み力任せに引き離す。
「お久し振りです透弥さん…。
お元気そうで良かった…」
先の二人とは明らかに違う態度でそのまま挨拶を交わした。
「ありがとう…志穂さんの方も…相変わらずで…」
「相変わらず男みたいでしょ?」
鉄ちゃんが掴まれて詰まったままの首元に手を差し入れてもがきながら続ける。
「本当に馬鹿力で私よりちっこいのに引き摺るなんて信じられない…これも私がか弱い女だからよ」