不器用なLOVER
その流れのまま二人が近付き、
私を見た。

「ふ〜ん。アンタが透弥さんの…お気に入りの女?」

志穂さんの睨みにたじろぐ私を

「全然普通じゃない?
今のうちいい気になってなよ。
そのうち思い知らされるからさ」

志穂さんが追い詰めた。

「ちょっと志穂いい加減にしな。貴女がいくら頑張っても逆効果。透弥様には唯の可愛い気のない女にしか映らないわよ!」

「鉄ちゃんは良いのかよ?
こんな平凡な何処にでもいる様な女が全てを兼ね備えた完璧な透弥さんのお気に入り何て許せない!…女ってだけで何の努力もない。此れじゃ頑張ってる奴が惨めだ」

振り払った勢いのままで
鉄ちゃんの胸元を掴み顔を埋めて肩を震わせた。

その背中を鉄ちゃんは片手で、
抱き止めてる。

「あの…ごめんなさい。
私には目に見える努力が足りないんでしょうか?
私はどうすれば良いのかもし宜しければ教えてください」

立ち上がり二人に頭を下げる。
それを半開きの口で鉄ちゃんが
見ていた。

「何だよ…可哀想って同情でも?それともお気に入りの余裕かよ?お生憎様…残念だけどアンタに、構ってる時間何て無いんだ」

顔を上げた志穂さんの目は、
少し赤くなっている。
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