不器用なLOVER
32nd reconciliation
ふんっと鼻を鳴らすと、
突然仕事の顔に切り替わった。

「ドレス着る前にボディメイクをしますんで脱いでもらえます?」

志穂さんの変わりように
瞬きを繰り返す。

「もう時間も余りないんで…
早くしてもらえませんか?」

促されるままに制服を脱いでいく

下着姿で志穂さんの前に立った。

「それも外してください…」

ブラまで外す様に言われて
呆然と立ち尽くす私に、

「それ…透弥さんの趣味じゃないと思うけど」

志穂さんがあっさり指摘する。

恥ずかしいのと悔しいのとで、
顔が一気に熱るのが分かった。

確かに今着けているのは、
中学生の時に買った古い物で、
カップ全体にキャラのプリントが施された子供っぽいデザインだ。

「別に透弥さんとはそういう関係じゃありませんから…」

まだ…。

口には出さずに付け足す。

「ふ〜ん」と乾いた返事をして、
何時までも外さない私に痺れを
切らしたのか背中に回る。

外された瞬間に思わず胸を隠す
仕種をした私に又も告げた。

「キスマーク付いてるけど…。
此処と此処と…こっちにも…」

項、肩に指が触れ
前に戻った志穂さんが自分の胸元を指で指し示した。

確かに赤く痕が残っている。

これがキスマークなんだ…。

感心して見惚れる。

「そういう関係じゃないのに、
キスマークは付けられる関係?」

< 280 / 315 >

この作品をシェア

pagetop