不器用なLOVER
【彼女と婚約しても良かったし
そのつもりだった】

透弥さんの台詞が頭の中にリバイブする。

「こんな風に痕付けるのはさ…、独占欲の表れなんだよ。
私にはなかった…」

志穂さんが私の胸元を見ている。

恥ずかしいと言う気持ちよりも、志穂さんに申し訳ない気持ちで…それを隠した。

「朋弥さんがうちの短大に来て…ほらあのルックスだから目立つしモテるからさあっという間に噂が広まったんだよね。
私が色仕掛けで何処ぞのボンボン引っ掛けて荒稼ぎしるって…。
巧みに誘導すんだもん参った…」

「志穂さん…」

目の前で笑う彼女は無理してた。

「朋弥さんは透弥さんに対しては崇敬の念を抱いていたんだから…当然の報いなんだけどね」

そんなことない…。
多分朋弥さんが怒ったのは…

「どうして…何も言わずに黙って透弥さんから離れたんですか?
透弥さんは傷付いたと思います」

【所謂お披露目ってこと…。
いずれは籍を入れる相手で僕も、そのつもりだったし】

透弥さんを傷付けたから
朋弥さんは復讐したんだ。

朋弥さんの中で透弥さんが一番
大切な人だから。

「透弥さんは志穂さんと本気で…婚約するつもりだったんですよ。志穂さんさえその気なら…」

今頃は…。

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