不器用なLOVER
初めて着けた感覚に馴染めずに、締め付けられている気がして。

大きく深呼吸をして見せた。

「どう?苦しい?」

心配する志穂さんに
首を横に振って答える。

「苦しい訳じゃないですけど…。食事は満腹まで食べられる自信はありません」

「…アンタどんだけ食べる気?
姫様は軽く摘まむ程度食べてれば良いんだよ!」

不安気な私に
呆れた顔で志穂さんが痛言した。

お姫様の話を蒸し返さないで…。
恥ずかしさと気不味さで首を竦め身を小さくする。

「…どうしても辛くなった時は、透弥さんに言って後ろ弛めて調節してもらいなよ」

志穂さんがドレスに手を掛けて
放言して笑う。

そんなこと出来るはずがない。
一つや二つではないフックを
弛めてもらう為にはドレスを
脱ぐということだ。

「でも意外だったな…。
細く見えてたけど大きいんだね。そういう合わないブラ付けてると形が崩れる。
後ろや横や下に流れ体型そのものもね!
透弥さんは見越しての目寸?
な訳無いよね…痕残す様な仲だ。
直寸に決まってるか」

ドレスを広げて手渡し後ろに周り後ろから鷲掴みにした。

「なっ!何するんですか!」

固まる私を無視し

「私もこのぐらいさせてもらえば狂い無く採寸出来るのかな?」

まだ指を動かしている。

「止めてください!」

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