不器用なLOVER
でも確かに今のは私が悪いかも。鉄ちゃんはあくまで仕事として…唯の好意として言ったんだよね。

「ごめんなさい」

素直に鉄ちゃんに謝った私の顔を誇らしげに透弥さんが見つめた。

「じゃあお願いします…」

透弥さんが鉄ちゃんを室内に促すのを不安気に見ていた私に気付き

「心配要らない…。
鉄宏さんは男の人だから」

透弥さんが耳打ちした。

まさか透弥さんは気付いてない?でも透弥さんなら有り得るかも。自分への評価が低過ぎる人だから

心配で二人の消えた
ドアを見つめる。

祈る気持ちで居る私に

「鉄ちゃんだってプロだよ…」

志穂さんが壁に背を預けたままで

「何年この世界でやってると
思ってるんだよ?」

言いたいことは分かってるけど。

「好きな人が異性と二人きりで…心配しない方が変だと思います」

ぼそりと言った。

「志穂さんは心配じゃないんですか?」

「何で私が心配するんだよ!
鉄ちゃんだって透弥さんの事が
好きなんだ…応援してるよ。
叶わない恋だって分かってても」

志穂さんは腕を組み静かに目を
閉じた。

志穂さん…鉄ちゃんの事が
ホントに好きなんだ…。

叶わない恋って…
鉄ちゃんの事?
志穂さんの事?

無理な事は分かっていても
願わずには要られなかった。

二人の恋の行方を…。

< 292 / 315 >

この作品をシェア

pagetop