不器用なLOVER
長谷さんが徐に近付き

「里中様
大変申し上げ難いのですが…。
自分は次の仕事の予定が有りますので此方で失礼させて頂きます。志穂と鉄宏の二人は今夜の後夜祭終了後のアフターケアまでは、
付き添いますので不都合が御座いましたら申し付けください」

「あっ、はい。
本当にありがとうございました」

長谷さんに頭を下げると

「透弥様には後日改めてご挨拶をさせて頂きます。
よろしくお伝えください」

その倍は有りそうな深いお辞儀を返し帰っていった。

「あの…アフターケアって?」

志穂さんを振り返る。

「その頭と…そのドレス…
どうするの?」

面倒そうに指を差しながらも
教えてもらい納得した。

「あっ…そっか…このドレスってレンタルなんだ」

私が呟くとすかさずに

「透弥さんがレンタルなんて、
用意する筈がないだろ!
クリーニングしてお返しするんだよ」

志穂さんが容赦なく突っ込む。

「そうですよね…」

へへっと愛想笑いを浮かべた。

来年ももし透弥さんの傍に
居られるならこのドレスを着られるのかな?

そうなれば良いな…。

別の人が着ることは無いだろうな

その時には…

別のドレスを新調するから。

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