不器用なLOVER
目を見張って私を見つめ

「当たり前でしょ?
志穂さんを呼んでるんだから…」

軽く息を吐き出す。

「あれ以来朋弥は志穂さんを僕に近付かせ無い様に手を尽くしてる訳だから…。
僕も二人が顔を合わせない様に、細心の注意を払ってるだけだよ」

朋弥さんがこの場に居ないのは、透弥さんが仕組んだ事だった。

最初から朋弥さんが居ないことは想定内だから落ち着いてるの?

「いつから?」

私の唐突の問い掛けにも動じず。

「晶が後夜祭に参加したいって、言い出した時から計画したんだ…最初は本気で朋弥にエスコートをさせようと思ったけど…やっぱり僕が嫌だと思ったから」

的確に欲しい答えを導き出す。

「秘密のMVPの話も…嘘なんだよ。最初から僕が晶をエスコートする為に何をすれば良いかを考えて、どうせなら晶を喜ばせたいって。ハプニングは合ったりしたけど…最終的に巧く行って良かった」

何でも無いことの様に話した。

「私の事も…騙してたの?
お見合いの話は?ホントなの?」

透弥さんに嘘を吐かれていた。
そう思うだけで悔しくて
涙が溢れそうになるのを耐える。

「ゴメン晶…。
確かに晶を騙してた事に変わりは無いよね…。
お見合いの話は本当の事だけど…晶に対して配慮が足りなかった。晶を喜ばせるつもりでいたけど…結局は先走って泣かせただけだ。僕の独り善がりだったよ」

透弥さんが私の頭ごと引き寄せ
強く抱き締めた。

< 296 / 315 >

この作品をシェア

pagetop