不器用なLOVER
このままでは二人が気不味くなってしまう気がして怖くなった。

繋いだ手は痛いほど力が込もって透弥さんを見上げた。

「本当に晶には呆れさせられるよまだ僕に何かさせるつもりなの?…他人事に関与するのは性に合わないんだけどね」

優しい眼差しがゆっくり近付き…唇がそっと触れる。

「少しは応援してくれても良いでしょ…。
ご褒美用意して待っててよ…」

顔を背けて呟く透弥さんの耳が、赤く染まってるのが見えたけど、私の顔は多分それ以上に赤い筈。

扉の影に私を隠し透弥さんが一つ深呼吸をすると。

携帯を取り出し画面を見つめる。

何処かに電話でもするのかと思い静かに見守っていたけど。

いくら待ってもその様子は見られなかった。

何か少し考える素振りをして、
納得した様に頷くと徐に携帯を
耳に当てる。

「えっ?…落ち着きなよ朋弥」

突然、
電話の相手というよりは、
中の二人に向かって声を発した。

状況を理解出来ずに居る私に、
微笑みを残し中に入って行く。

微かに開けられたままのドアからまた中の様子を伺う事だけが私に出来ることだった。

いつの間に繋がった電話。
電話が掛かって来ることが分かっていたのかも…。

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