不器用なLOVER
「仕方ないでしょ?朋弥に話せば反対するのは分かっていたから」

透弥さんはまだ携帯の相手らしき人と話を続けていた。

「それは朋弥の勘違いでしょ?
志穂さんも今は僕とは仕事上での付き合いしかしてないから…」

どうやら相手は朋弥さんらしく。

「とにかく落ち着きなって。
志穂さんも隣に居るから…」

朋弥さんの方もまだ志穂さんとは仲違いしたままだったんだよね。

「駄目だよ…今の朋弥に代わる事なんて出来る筈無いでしょ!」

もしかしたらタイミング悪い電話なんじゃ無いのかな?

透弥さんらしくないミスなんじゃないのかと不安が込み上げる。

「それは違うから…。
実際に彼女は今日も恋人と一緒に来てるんだから」

志穂さんの恋人って…。
鉄ちゃんのことしか考えられないけどまだ恋人って訳じゃないし。

私の疑問に答える様に透弥さんが付言する。

「正確にはまだ恋人って訳では…ないみたいだけど。
僕は時間の問題だと思っている。朋弥が杞憂する事何てないよ」

それって本人達を前に言って良い事なのかな?

確かに焦れったくて何とかしてはあげたいと思っていたんだけど。

「分かったよ…。
そんなに僕の言葉が信じられないと言うなら仕方ないよね…。
今、鉄宏さんに代わるから…」

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