不器用なLOVER
私が息を飲むのと。

｢分かりましたそれで朋弥さんが納得してくれるなら構いません｣

志穂さんの返事は同時だった。

｢但し…鉄宏さんにも言ったことだけど嘘や遠慮や気遣い等は、
一切必要有りません！
志穂さんの心意だけを簡潔に…｣

透弥さんの声に続けて志穂さんが口を開く。

｢お久し振りです朋弥さん…。
…その節はご迷惑をお掛けして…申し訳ありませんでした。
…今は透弥さんに紹介して頂いた仕事でご一緒してはいますが…、私も彼のことが好きです。
恩を仇で返すことになってしまい申し訳ありません。
ですが…私も…彼と同じで私情を挟むことはありません。
いえ…私はまだ未熟ですので…、時には感情で動くこともありますだけど彼はﾌﾟﾛﾌｪｯｼｮﾅﾙですので…公私共に尊敬しています！
今は本当に彼と一緒に居たい｣

志穂さんの素直な気持ちが届く。

｢…朋弥さん？｣

志穂さんの戸惑いの声も届いた。

｢朋弥さん？｣

｢……もしもし朋弥？
……切れてる…。
納得して切ったなら良いけど｣

透弥さんが続けた。

｢申し訳ないけど…僕のお姫様がお待ちかねですので…鉄宏さんにメイク直しをお願いします｣

目の前の景色が一気に開ける。

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