不器用なLOVER
「…好きなのかなあ?」
短い溜め息に、
「まだその段階なの?」
登喜子が呆れて気味に聞き、
「かなあ?じゃない好きなの」
真姫に断定された。
「あれから毎日一緒に帰ってるんだよね?」
衣里の質問に、
「ヤッラシ〜イ。放課後遅くまで会長室で何してるのかな?」
登喜子が冷やかし、
「ホントのとこ何処まで進んでるの?」
真姫が食い付いた。
「なっ…何にもしてない。
進んでもない」
顔を赤くして頭を振るのを見て、
三人が私を見据え、
「吐け」
声をハモらせた。
「……キスされた1回…2回?」
飛び付く勢いで顔を寄せ、
「嘘」
「何で」
「付き合ってるの」
口を揃えてた。
「ホントだけど…別に付き合ってないし。付き合って欲しいなんて言われてない」
あれ以来触れることもないし。
自分の方が信じられないよ。
「つまり、女は皆自分に惚れてるって思ってるわけだ」
真姫の言葉に、
「あの自意識過剰男の考えそうなことだね」
登喜子も大きく頷いた。
「あの、そんな風に思ってないと思うけど?」
いや寧ろ逆ですから。
「甘い恋は盲目って、晶は騙されてるのよ」