不器用なLOVER
歩き疲れ、壁に寄りかかりしゃがみこむ。

午後の授業始まっちゃうかな…。

半ば諦めかけた。
こぼれ落ちそうになる涙を耐えようと上を向く…

ガチャッ

壁が動いた。

正確には壁だと思っていたものは扉で、その扉が開いた。

当然背中の支えがなくなって、
扉の向こうに倒れこむ。


「…何?」

低い声が上から降ってくる
何が起きてるのか理解出来ずに
呆然と、瞬きを繰り返す。

「…何か用?」

その声の主は顔色一つ変えずに、
覗きこんできた。

その顔は、中性的で整っていて、
まさに美人。

「…用ないなら放っとくけど?」

差し出された片手と、
綺麗だけど表情の読めない顔を
見比べる。

短く溜め息を突くと、
差し出したままの腕を、
脇から背中に回し、
一息に引き上げた。

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