不器用なLOVER
上目使いで透弥さんを見ながら、紅茶を一口飲むと

私を真っ直ぐ見つめ、

「晶…触れられるの嫌だよね?」

私のカップを奪って、

「嫌なら、言って…」

キスをする。

唇を塞いでいたそれは、

次第に激しく吸い込むように、
求め、

口を少し開くと、
熱いモノが侵入してきた。

「んっ…んんっ」

肩を押して体を引き離す。

「ゴメン…。嫌だよね。
消毒だと思ったんだけど」

小さく頭を振る。

「そうじゃない。誰か来ちゃう」

視線を戸口に移すと、

「呼ばない限り誰も来ないよ」

それを私の上で止める。

「僕も我慢してるんだ。
なのに晶は無防備に隣に座ったりするから…」

透弥さんの眼鏡に手を延ばす。

「何?外して欲しいの?」

小さく頷く。

それを外して、

「透弥さんのこの顔は、私しか、知らないね」

首に手を回す。

背中に回された手が私を支え、

ソファに倒した。

「なら、僕にも教えて。
僕しか知らない、
晶の顔…」

近付く唇が重なる前に、

「キスは三回…。
透弥さんにしかされてないよ」

微かに肩が揺れ、

口角を上げ、

「そう。ならこれで五回目だね」

重なる。
< 51 / 315 >

この作品をシェア

pagetop