不器用なLOVER
翌日から始まった透弥さんの個人授業は想像とは違い過ぎて…。

「これ違うから。…昨日も同じ間違いしてるけど、本当に説明聞いてる?」

聞いてたけど…。
集中出来ないっていうか…。

返事が出来ずにいると、
片眉を上げつつ額を軽く突いた。

「理解出来てないのに分かったって言わない」

その額に手を添える。

「もう一度説明するから…」

正面から隣に座わり直して、問題と向き合ってる透弥さんの横顔を見つめる。

「この公式を使って…」

教えてくれるのは嬉しいけど。
もう一週間も経ってるのに…。

透弥さんの口元に目が行く。

透弥さんの唇の感触を思い出す。
口内で絡まった舌の感覚が蘇る。

身体中が熱を帯てくる。

トリップしてて気付かなかった。
眉を潜めて見られていたことに。

「…聞いてた?」

問掛けに慌てて頷く。

口角を上げ、

「そう。なら、次は出来るよね?緊張感持つ為に賭けようか?」

「賭け?」

「間違えたら晶が。
正解したら僕がバツゲーム」

バツゲーム

アタフタする様子を傍観して、

「自信ないの?説明聞いてたんだよね?」

目を細目言った。

マズイよね…。
少なくても似たような問題で3回は説明してもらってるのに…。

でも乗れば確実にバツゲームだ。それどころか愛想つかされて相手にしてもらえなくなるかも?

息を飲む。

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