不器用なLOVER
「晶?どうかした?」

真姫が私の顔を覗いた。

「すっごいクマ…」

あの後何も話さない私を時々透弥さんは振り返ったけど何も聞かなかった。
それからずっと一人で悩んでて眠れなかった。

「…ねぇ、どうして生徒会長のことを嫌ってるの?何かあったの?」

真姫はあからさまに眉を潜めて、口を閉ざす。

「私達はさ、幼稚部からの持ち上がりだから。1年上の会長のことずっと知ってるんだよ」

隣の席の椅子を近付けて座る登喜子の話に頷く。

「中等部までは会長ってサッカーやってて、すっごい巧くて全国大会とかも行って注目の選手だったの…」

登喜子が更に続ける。

「今よりもモテまくりで、違う学校にも追っかけがいたりしてさ」

サッカーの試合とかで他校との交流があったから、当然なのかも。

「まあ面白くない連中もいたからいろんな噂が飛び交ってたわけ」

私の顔を見て言葉を濁す。
何?言い難いことなのは何と無く分かったけど、その分余計気になる。

無言で視線だけで先を促した。

長い溜め息を吐く。
登喜子に代わり不機嫌顔のまま真姫が、

「想像付くでしょ?モテまくりなんだから、女が黙ってないわけ。毎日違う女連れて歩いてるだけじゃなくて、中には妊娠させて中絶させたとか。金持ちらしく金で解決させたとか…」

嘘だ…。
透弥さんに限ってそんなことあるはずないよ。

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