不器用なLOVER
「実際どこまでいってるの?」

真姫が痺を切らし机を叩いた。

「どっ…どこまでって?」

机を押すように前ノメリに立ち上がった。

「デートの行き先とかいう呆けは要らないから」

私だって真姫が聞きたいことぐらい分かる。
そこまで鈍くないし、ブッてもないでしょ。

「何も進展ないよ。キスまで…」

私の返事に登喜子が興奮気味に、

「はあ?あんた達放課後の会長室で何してるのよ?」

登喜子の口を慌てて塞ぎ、周りを見渡した。
良かった昼休みってこともあり残ってる生徒は少ないし、こちらには無関心だ。

「声大きいよ。…何って試験勉強見て貰ってるだけで、透弥さんは生徒会の仕事もしながらだから」

わざとらしく大袈裟に溜め息を吐き、脱力したように真姫が椅子にもたれかけた。

「魅力足りないんじゃない?色気がないよね?」

登喜子には言われたくない。
健康美と言えば聞えがいいけど、筋肉質で地黒のどこに色気があるのよ。
とは本人には言えないけど…。

「まあそれはともかく、キスはどうなの?」

どうどうって…。
馬じゃないんですけど?

「舌は?気持ち良かった?」

真姫は相変わらず興味心丸出しで聞いてくる。

助けを求めて衣里に視線を移す。

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