不器用なLOVER
「それはやっぱ晶に感じないからじゃない?」

真姫の言葉に体が跳ねた。

いつから居たの?
っていうか声出てた?

一人パニクル私を残し、

「ならポイするでしょ?」

登喜子が恐ろしいことを口走る。

「いやあの会長ならヤラ捨てはしないんじゃない?」

ヤラ捨て?聞き慣れない言葉を質問する暇も与えず。

「据え膳食わぬは…っていうか、一応召し上がっちゃうでしょ」

二人が会話してるのを静かに聞いてた衣里が、

「それならあっちゃんを会長室には呼ばないでしょ?」

割り込む。

「だからさ、本来なら会長室で召し上げてるはずなんだけど、試験前だし体育祭や後夜祭の準備もあるしで自粛してるんだって。で、全部終ったら…ねぇ?」

真姫がニヤっとヤらしい笑いを浮かべる。

「…あの〜?」

遠慮がちに声をかけると、

「うわいつから聞いてたの?」

大袈裟なぐらい登喜子が跳ねる。

それは私の方だよと内心思いつつ

「三人は私の友達なんだよね?」

疑わしくは真実に突っ込む。

三人は嘘臭いくらい満面の笑みを浮かべて、

「当然でしょ」

ハモらせる。

「安心して骨は拾うから」

真姫が肩を叩き、

「晶が身を呈して暴いた真実は無駄にしない」

登喜子が泣き真似て、

「初めては経験豊富の人の方が痛くないっていうしね」

衣里は恥ずかしげもなく微笑む。

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