不器用なLOVER
どうしよう…私が下手だからだ。
だけど透弥さんしか知らないんだから仕方ないじゃない。
なくないのかな?
どうやって覚えるの?

「晶…」

肩に置かれた手に体が反応する。

駄目だ…。
練習してからじゃなきゃ。

「ごめんなさい。やっぱ忘れて?他のことにするから…」

不自然なぐらい笑って誤魔化す。

静観していたけど、

「…そう」

再び前を向いて歩き出した。

そうあっさり退かれてほっとしたような寂しいような複雑な心境。

好きだけじゃ駄目なのかな?

それだけじゃキスしてくれない?

透弥さん…。

繋いでるのに離れてる気がする。
手を伸ばせば触れられるのに遠い

私が頑張って上手になればいいんだから。
透弥さんにまたキスしたいって思われるようになればいいんだ。

繋いだ手を離さなければ透弥さんはいつだって此処に居てくれる。

…経験豊富だと巧いって言ってたからいっぱいすれば…って誰と?

どうしよう…衣里や真姫は以外と経験者だから何か教えてもらえるかも?

ムリ

だってあの三人は透弥さんのこと誤解してるし、こんなこと言えば面白がるに決まってる。


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