不器用なLOVER
「あっそ。それがお前の答えってわけだ?」

答えないことが答え…。
つまり、そういうこと。

「優しくされるだけじゃ女はムリなんだよ」

朋弥さんの言葉が胸を刺す。
透弥さんの優しさにすがってたから、突き放せなかったんだよね?

「強引にでも、時には態度で示してやんなきゃ分かんねぇの」

透弥さんのせいじゃない。
もうムリなの分かってる今だって透弥さんの腕を脱け出せない。

「昨日だってお前…我慢してたんじゃねぇの?ってか昨日だけじゃねぇんじゃねぇ?」

我慢…してたの?
ホントはずっと、触れられたくなかったのかな?

「お前…マジ有り得ねぇから。
俺なら耐えらんねぇ…」

朋弥さんから深い溜め息が漏れる

そんな…私ホントはメチャメチャ嫌われてたんじゃない。
なんでもっと早く気付かなかったのよ。きっと今まで透弥さんから信号が出てたはずなのに。

「毎日二人きりの空間中に居て、相当キツかっただろ?」

私はバカだ。
大バカ過ぎだよ。
透弥さんの律儀な性格知ってるのに、勉強教えるって約束守るために我慢してくれてたのに。

気持ち無駄にするとこだった。

髪を撫でていた手は今はない。
腰の腕だけが心もとなく辛うじて回ってる。

二度目の大きな溜め息と

「んな顔してねぇで、何とか言えば?」

呆れた声が聞こえた。



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