不器用なLOVER
顔?
顔って?
透弥さんの?それとも涙でグチャグチャの私の顔?

朋弥さんの目は透弥さんを正視していて、

私も上目使いで見上げれば、

耳も首まで赤く染め腕を顔に押し付けている透弥さんと目が合う。

その腕で頭を押さえられ視線を変えさせられる。

うわぁ〜
透弥さんメチャメチャ照れてるんだけど。
その姿につられたように私の体まで熱りだし、鼓動が高鳴る。

「面倒くせぇ〜バカップル」

朋弥さんが通り過ぎ際耳元で囁く

(透弥、晶ちゃんとヤリてぇんだって…)

私の体温は更に上昇した。

そして最後に、

「透弥、女に恥かかすなよ」

そう言い残し片手を挙げて教室を後にした。

二人を包む沈黙。

先に声を発したのは、

「朋弥…何だって?」

呟やいた透弥さんだった。

えっと…アレってつまりそういうことだよね?

「大体、何で朋弥になんて相談したの?前から言ってると思うけど晶は軽弾みに行動し過ぎだから」

いきなり始まったお説教に顔を見ようと体を離しかけるけど、両腕でしっかり抱き締められ動けなくなる。

「ごめんなさい…だって透弥さんとキスしたかったんだもん」

長い溜め息を吐くと、

「…キスだけで、終われないけどいいの?」

甘い囁きが耳に残った。

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